NASAL SYMPTOMS鼻の症状

鼻は匂いを嗅ぐだけではなく、きれいな空気を取り込むためのフィルターの役割もあります。

鼻は外の空気を取り込み、鼻腔上部にある嗅上皮(きゅうじょうひ)という部分で匂い成分をキャッチして脳に伝えることで匂いを感じます。また、外の空気に含まれる細かなゴミや細菌、ウイルスが体の中に入るのを防いだり、温度・湿度を調整する機能もあります。

鼻に見られる症状

  • 鼻水が出る
  • 鼻が乾く
  • 鼻が詰まる
  • 鼻水がのどに落ちる感じがする
  • くしゃみが止まらない
  • 匂いがわからない
  • 鼻の奥が痛い
  • 鼻血が出る など

アレルギー性鼻炎

ハウスダストや花粉が体に入って異物と認識され、次に同じものが体に入った時に体を守ろうと過敏症状を起こす疾患です。くしゃみ・鼻水・鼻づまりの3つの症状が揃うとアレルギー性鼻炎と診断されます。ハウスダストが原因となる通年性と、スギやヒノキなどの花粉が原因となる季節性の2種類に分けられます。

治療方法
まずはアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)に暴露されないよう生活環境を整えることが大切です。そのうえで抗アレルギー剤の内服や点鼻薬を調整します。それでも症状のコントロールが難しいようであれば、レーザーで鼻粘膜を焼灼する処置を行ったり、鼻水やくしゃみを制御する後鼻神経を切断する手術を行います。

舌下免疫療法

スギ花粉症、ダニアレルギー性鼻炎の方には、舌下免疫療法という治療が可能です。
舌下免疫療法とは、アレルゲンを少量ずつ体内に取り入れて、徐々にアレルゲンに体を慣らして免疫を作るという治療法です。アレルゲンが配合された治療薬を舌の下に置き、一定時間そのまま保持した後飲み込むという簡便で続けやすい治療法となっています。即効性はなく、3~5年もの長期の間毎日続けて内服する必要がありますが、重篤な副作用はなく、約80%の方に効果が見られ、体に免疫を作る治療法なので根治が期待できます。舌下免疫療法をご検討の方は、お気軽に当院までご相談ください。

副鼻腔炎(ちく膿症)

副鼻腔とは鼻の周りにある骨で囲まれた空洞です。ウイルスや細菌、アレルギーが原因で副鼻腔の粘膜が炎症を起こした状態を副鼻腔炎といいます。通常は自然口(鼻と副鼻腔の間にある通り道)から副鼻腔の分泌物や膿が鼻に排泄されますが、炎症や鼻茸で自然口が塞がれると副鼻腔に溜まったままとなりこの状態を慢性副鼻腔炎といいます。鼻水、鼻づまり、のどに鼻水が流れる、頭痛、顔面痛、匂いが分かりにくいなどの症状が見られます。

副鼻腔の解剖図

治療方法
抗生剤で炎症を抑え、抗アレルギー剤や血管収縮薬やステロイドを使って鼻の腫れを抑えて鼻の通りを良くします。ネブライザーや膿汁の吸引などの局所処置も行います。このような保存的治療を数か月行った後にCTで治療効果を判定し、改善がないようであれば手術治療を相談します。

好酸球性副鼻腔炎

近年増加傾向にある難治性の副鼻腔炎です。鼻茸が多発し、粘り気のある鼻汁が出て嗅覚障害がみられます。慢性副鼻腔炎の約10%を占めています。治療を行っても再発しやすく、2015年より特定疾患(難病)に指定されています。気管支喘息や好酸球性中耳炎を合併することが多く、一緒に治療を行うことが病状のコントロールに重要となります。

治療方法
一般的な副鼻腔炎と同様に抗アレルギー剤の内服やネブライザー・鼻処置などの局所療法を行います。手術やステロイド投与により症状を抑えることができますが再発しやすく、鼻茸を伴う重症例に対しては後述する生物学的製剤「デュピルマブ」が使用可能となりました。また、合併する気管支喘息のコントロールも重要であり、当院では1階の呼吸器内科と連携して治療を行っております。

生物学的製剤「デュピルマブ」

近年使用可能になった新しいタイプの薬として、炎症に関わっている物質の働きを抑制する、生物学的製剤「デュピルマブ」という注射薬があります。手術後に再発したり、経口ステロイド薬(飲み薬)が使用できない場合などに使用可能となります。高価な薬剤ですが、助成制度などを利用することで自己負担額を軽減することができます。よく効くお薬ですが、使用できる方に条件がありますので、デュピルマブによる治療をご検討の場合は、一度当院までご相談下さい。

鼻出血症

鼻出血の原因は、鼻をかんだりつついたりくしゃみをするなどの物理的刺激が全体の80%と多くを占めています。出血部位としては、鼻の穴を左右に仕切る鼻中隔の前方(キーゼルバッハ部位)が80%と最多です。キーゼルバッハ部位は鼻の穴からでも指が届きやすく、表面に毛細血管が集まっているためちょっとした刺激でも出血しやすくなっています。

治療方法

まずは鼻翼圧迫法を試してみてください。鼻出血の好発部位であるキーゼルバッハ部位は鼻の前方にあるため、鼻翼をつまんで圧迫すると効果的です。その時、下を向いて血液がのどに流れないようにしてください。血液をたくさん飲み込んでしまうと吐き気がします。30分程度圧迫しても止血しない時にはすぐに医療機関を受診して下さい。鼻の中を観察して出血源を確認し、電気凝固して止血を行います。止血後は傷が治るまで数日間、鼻を安静にする必要があります。

【鼻翼圧迫法】小鼻を強くつまむ・顔を下に向ける。15分〜20分の間安静にしましょう。